先月、東京都社会保険労務士会が行う「医療労務コンサルタント」の研修を受講してきました。
座学とグループワークからなる研修は、どのプログラムも充実していて、学びの多い有意義な時間でした。
色々とあったプログラムの中でも、とても印象に残った内容がありましたで、今回はそちらについてご紹介させていただきます。
印象的だったプログラムの一つは、「医者の不養生」という内容の講義でした。
こちらの講義では、人の病気を治すお医者さん自身が体調に不安を抱いている方が多いというお話を聞きました。その原因としては、長時間労働と仕事上のストレスが大きいとのことです。
特に勤務医の労働環境は過酷で、回答者の大多数が病院勤務医であるアンケートによると、20歳代では75%以上が休日が月に4日以下と回答していました。また、うつスクリーニングテスト(QIDS)を行ったところ「抑うつ状態」や「うつ病」のお医者さんが多くいたとのことでした。
この講義の中で、最も印象的だった内容は「抑うつ状態と睡眠時間」の関係についてでした。
統計によりますと、睡眠時間が6時間未満の場合では、「抑うつ状態」になっているお医者さんは男女共に10%前後ですが、睡眠時間が5時間未満の場合では、その割合が男女共20%以上に急増します。
つまり、睡眠時間が5時間未満の場合は、精神的に非常に危険な状態にあるということになります。
ちなみに、「抑うつの症状」は、主に下の3つだそうです。
1.抑うつ気分
憂うつ・楽しくない・悲しい・孤立感・涙もろい・笑えない・自責感・死にたい等
2.精神運動性抑制
集中力がない・持続力がない・考えがまとまらない・何もしたくない・面倒臭い等
3.身体症状
食欲不振・頭痛・腰痛・不眠等
「『うつ病』は薬が必要なもの、『抑うつ状態』は休養か環境調整で治るもの」、であると学びました。
従業員の方々の心の健康を守るのは、事業主の皆さんの大きな義務の一つです。
今年の12月より、従業員50人以上の事業場についてはストレスチェックが義務化され、今後ますます従業員一人ひとりのメンタルヘルス不調に敏感になる必要があります。でも、メンタルヘルス不調に敏感になる対象は、従業員の方々だけではありません。
事業主の皆さん、ご自身のメンタルヘルス不調にも気を配ってください。
「『抑うつ状態」は休養か環境調整で治るもの」です。メンタルヘルス不調かな、と思われる従業員の方がいらっしゃいましたら面談等の措置をとるのはもちろんですが、出来るだけ休養を与えるようにしてください。睡眠時間を多くとることで、精神状態の悪化を防ぐことが出来るかもしれません。
また事業主の皆さんも、ストレスを感じ精神的な不調を覚えたら、出来るだけ眠るようにしてみてください。常に6時間以上の睡眠時間をとることで、心身がスッキリするかもしれません。